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日本発のがん治療「重粒子線治療」
がん治療には様々な治療法がありますが、初期~中期、転移がみられないがんに関して有効な先進医療は「重粒子線治療」となります。ここでは「重粒子線治療」の特徴とメリットを紹介します。
重粒子線治療の現状
重粒子線治療法は、がん治療として世界に先駆けて実運用に成功した日本発の技術です。独立行政法人放射線医学総合研究所が初めに実運用に成功し、1994年から2013年8月迄の間に7500名以上の患者さんの治療を行った実績があります。国際的にも非常に高い関心が寄せられており、現在日本国内では独立行政法人放射線医学総合研究所や兵庫県立粒子線医療センター、九州国際重粒子線がん治療センター、群馬大学重粒子線医学センターで重粒子線治療が行われています。
国外ではドイツのハイデルベルク大学やイタリアの国立ハドロン治療センター、中国の近代物理研究所などで導入されており、建設中のものを含めると国内外問わず13の地域で重粒子線治療を実施する動きとなってます。
有効な放射線治療
放射線の中でヘリウムイオン線より重いものを重粒子線、電子より重いものを粒子線と呼びます。重粒子線を活用した放射線治療で特に炭素イオンを活用しているのが重粒子線治療であり、体の深部のがんを攻撃する為に重粒子(炭素イオン)線を光の速度の約70%まで加速させ照射します。従来のX線を使った放射線治療では、体内の奥に入っていく程がん細胞へのダメージが下がっていましたが、重粒子線治療ではそのダメージ力のピークを体内(患部)に設定できます。
またがん病巣の形に合わせて、照射調節の専用器具である「コリメータ」「補償フィルタ」を用いる事で、がん病巣の位置(深さ)や形に合わせて集中的に照射する事が可能となります。その患者さんに合わせた照射を行うことで、脊髄等の重要な器官への影響を抑えながらがん治療を行えます。
切らずに治す治療
初期~中期のがんに行われる治療には外科手術があります。がん病巣を直接切除できる事で完治の可能性が高い治療法のひとつと言えますが、体の一部を切除する事によりその機能を低下させる可能性があります。また、従来の放射線治療は健康な器官へ影響が出てしまい、その副作用も強くなっていました。その点、重粒子線治療は体外から部位照射で治療を行えますので、体への負担はありません。また従来の放射線治療とは違いがん病巣の位置(深さ)や形に合せた照射ができる為、健康な他器官への影響を抑え副作用が少なく済む点もメリットとなります。
治療は1日1回の照射となり、週3~5日で合計1~40回程度となります。最短で1日、平均では約3週間で終了します。1回の照射時間は1~3分程度となりますが、照射開始前に位置決めをする時間もありますので治療時間としては5~30分程となります。また、主治医の判断とはなりますが通院での治療も可能となる場合があります。
重粒子線治療をもっと詳しく知りたい方は、重粒子線治療について詳しく紹介しているサイトを見てみましょう。重粒子治療が有効な症状の説明や、看護師などの医療従事者向けページなどもあります。
重粒子線治療に向いているのは、原則として、同じ種類のがんでも病巣がまだ局所に限局している場合です。
引用>>重粒子線医療ガイド
重粒子医療ガイドには、重粒子治療に関する様々な情報が掲載されています。